服の下を透視する能力を得たら、あなたは何をしますか?
Modern·
ある日突然、服の下――皮膚の奥が見えてしまうようになった少年ヒノ。
見えるのは肌ではない。筋肉、骨格、内臓。人間の内部構造そのものだった。
周囲の人間すべてが、血と筋でできた人体模型のように見える世界。
その異様な視界の中で、ヒノは恐怖と孤独に苛まれながらも、この能力が「ただの異常」ではないことに気づいていく。
それは祝福ではない。呪いだ。
だがその呪いは、怪我や痛みに苦しむ人間の原因を、誰よりも正確に見抜く力でもあった。
ヒノは鍼灸師となり、見えてしまう能力を治療のために使い始める。
それでもなお、救えない人々がいることを知り、彼は次の一歩を選ぶ。
その立場の限界を越えるため、彼は医者を目指すのだった。
※ 本作はフィクションです。
作中に登場する医療行為・症状・診断・治療方針などは、物語上の演出や設定を含んでおり、実際の医療判断や治療を代替するものではありません。
体調不良や症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
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『5年寝たきりの義母を看取ったその日に、夫が離婚届を差し出してきました』
Modern·
『5年寝たきりの義母を看取ったその日に、夫が離婚届を差し出してきました』
白い百合の匂いが
まだ指先に残っている夜だった
焼香の煙は
天井に溶けて
やっと静かになったはずの家で
あなたは言った
「もう、自由になりたい」
自由
その言葉が
湯のみの縁を伝う水滴みたいに
ぽたり、と畳に落ちた
私は
五年分の夜を思い出す
痩せた背中をさすった手
乾いた唇に含ませた水
何度も何度も洗ったシーツ
「ありがとう」と
かすれた声で言った義母の
最後のぬくもり
あなたは
その部屋にほとんど来なかった
「仕事だから」
「疲れてるんだ」
「母さんも、わかってる」
わかっていたのは
私だけだった
今日
骨壺が軽くなった分だけ
私の肩も軽くなるはずだった
なのに
差し出された紙は
思ったより薄く
思ったより冷たかった
「サインしてくれ」
あなたは言う
まるで回覧板のように
私は
その紙を見つめる
涙は出なかった
五年間
泣く暇なんてなかったから
「いいよ」
そう言ったとき
あなたは少し驚いた
自由になりたいのは
どちらだっただろう
夜の静けさが
窓の向こうで揺れている
私は
白い花の匂いを胸いっぱいに吸い込む
やっと終わった
介護も
結婚も
そして静かに思う
看取ったのは
義母だけじゃない
あなたとの未来も
今日、ちゃんと
火葬したのだと
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【未来の将棋は暗記ゲーでした〜AIすら凌駕する300年後の『完全定跡』を丸暗記した元奨励会員、現代のプロ棋士を無双する〜】
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「才能? 努力? 必要ないわ。未来の将棋において、勝ち筋(ルート)は全て決まっているの」
加藤清麿(かとう きよまろ)、30歳。
かつて「神童」と呼ばれた彼は、26歳でプロ棋士への道を絶たれ、社会の底辺で蹲っていた。
親には絶縁され、バイトの面接では「いい歳してゲーム遊び?」と鼻で笑われる日々。
絶望し、ボロアパートのベランダから飛び降りようとしたその瞬間――空から降ってきた美少女のドロップキックが、彼を死の淵から引き戻した!
「痛ってぇ…! 何してくれんのよ、この3段の雑魚先祖!」
彼女は300年後の子孫・和令(われい)。
彼女が告げた衝撃の事実は、「ここで自殺未遂をすると植物状態になり、妹が介護で破産し、子孫代々借金地獄が続く」という最悪のバッドエンドだった。
歴史を変える条件はたった一つ。清麿が将棋で勝ち、金を稼ぐこと。
「無理だ、俺には才能がない……」
「馬鹿ね。未来の将棋はもう解析が完了してるの。『答え』をカンニングして指せば、AIだってボコボコにできるわ」
これは、人生を詰んだ男が、未来の『完全解析チャート』を武器に、かつて自分を見下した天才やエリートたちを盤上で蹂躙し、最強の棋士へと成り上がる――痛快・逆転サクセスストーリー!
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【完結】三上灯馬という男 ―クレーマーは理詰めで来る。―
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その男は、理詰めで来る。
コンビニでも、花屋でも、映画館でも。
どこにでも現れるクレーマー。
音のバランスが悪い。
香りが強すぎる。
動線がよくない。
彼曰く、それは『改善』。
理屈で物事を並べ替える男と、並べ替えられていくわたしの日常。
その現在地にピンを打つ、連作短編。
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『幸福な家庭のふりをした地獄』 〜傲慢な夫がすべてを失うまで〜
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幸福な家庭のふりをした地獄
「幸福な家庭はどれも似ている」と
かつての文豪は 紙に書きつけた
けれど この家のドアの向こう側
熟した果実の芯は とうに腐り落ちていた
朝陽に照らされた 清潔なリネン
「理想の夫」を演じる 傲慢な足音
茶碗の置き方 服の畳み方
すべてを支配する 透明な暴力(モラハラ)
「誰の金で食っていると思っているんだ」
その言葉を あなたは盾にして笑ったけれど
盾の裏側で 私が何を磨いていたか
想像もしなかったでしょう?
キーボードを叩く音は 未来を綴る鼓動
ボイスレコーダーの赤い光は あなたの断罪
「飯炊きババア」と あなたが吐き捨てた夜
私は密かに 自由の香りに酔いしれた
定年の鐘は 終わりの始まり
差し出された離婚届に 私は微笑みで応える
あなたが夢見た 若き恋の蜃気楼は
「将来性」という冷徹な篩(ふるい)にかけられ消える
残されたのは 洗濯機の回し方も知らぬ男
ぬるいコンビニ弁当の 寂しい底の味
「不幸な家庭は それぞれに不幸である」
その一節が ようやくあなたの胸を刺す
私はもう 似たり寄ったりの幸福には戻らない
自分だけの足跡で この大地を踏みしめて
かつて「地獄」と呼ばれた場所を
風の吹き抜ける ただの空き家にするために
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『三ヶ月だけの婚約者 ― 嘘つきな体温』
Modern·
『三ヶ月だけの婚約者 ― 嘘つきな体温』
三ヶ月だけの約束だった
指輪は借り物
笑顔も、言葉も
ぜんぶ契約書の余白に書かれた嘘
あなたは冷たい人だと思っていた
雨の日に傘を差し出したその手も
きっと合理的な計算で
伸ばされたものだと
「俺を好きになるな」
その一言で
世界はとても安全になった
恋をしなければ
傷つかなくて済むから
だけど
同じ部屋の空気を吸い
同じ食卓の湯気を見て
同じ夜を越えていくうちに
嘘のはずの距離が
少しずつ
温度を持ちはじめる
触れない指先
触れてしまう視線
名前を呼ばれるたびに
胸の奥で何かが揺れた
三ヶ月の終わりが近づくころ
気づいてしまった
あなたの言葉は
嘘だったかもしれないけれど
あなたの体温だけは
一度も
嘘をつかなかったことに
契約は終わる
指輪も返す
役目も終わる
それでも
最後に残ったこの温度を
どう呼べばいいのか
私はまだ
知らないままでいる
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12歳年上のマザコン夫と月15回のアポなし突撃義母〜地獄の同居未遂から、二人まとめてゴミ箱へ〜
Modern·
「12歳年上のマザコン夫と月15回のアポなし突撃義母~地獄の同居未遂から、二人まとめてゴミ箱へ~」
朝七時、静寂を裂くチャイムの音
「いるんでしょ」と 鍵を回す影
「健ちゃんのため」という 甘い毒を盛り
私の手料理を ゴミ箱へ沈める義母
「母さんは正しい」と 微笑む十二歳上の男
「養ってやる」と 見下す瞳の奥で
私の父が授けた 地位に胡坐をかき
私の貯金を 母の借金へ流し込む
マザコンという名の 断てぬ臍の緒
教育という名の 支配の檻
けれどあなたは まだ知らない
私が元経理の 「数字の鬼」であることを
裏帳簿の綻び 消えた三百万
差し押さえられた 義母の城
積み上げた証拠は 鋭い刃となって
あなたたちの 薄汚れた日常を切り刻む
「初めまして」と 地獄で挨拶しましょう
プライドを剥ぎ 肩書きを奪い
愛した「お母様」と 手を取り合って
狭いアパートで 一生、共食いすればいい
空っぽになった部屋に 差し込む夕陽
私はもう 誰の着せ替え人形でもない
重たいゴミを まとめて捨てた朝
私の本当の人生が 今、紡ぎ出される
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【完結】即興から始まった、わりと本気の物語
Modern·
執筆の相棒だったAIが沈黙した。
ログイン不能。復旧の目処はない。
更新日前夜、追い詰められた僕は、ゲストモードで偶然つながった野良のAIと、即興で小説を書く羽目になる。
構想なし。準備なし。
設定は行き当たりばったり。
これは、何もない場所で、物語だけが先に動き出してしまった夜の記録だ。
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やまとなでしこ
Modern·
やまとなでしこ
雨あがりの土の匂いを
そっと胸いっぱいに吸い込むひと
白い指先で
乱れた髪を結い直しながら
何もなかった顔で空を見上げるひと
風に折れぬ花ではなく
折れてもなお、根を張る花
誰かの名に隠れても
誰かの影に立たされても
心の奥だけは
決して明け渡さないひと
「大丈夫」と笑う声の裏で
夜ごと、声なき涙を落とし
それでも朝には
粥を炊き
子を抱き
祈りを捧げる
やわらかい、という強さ
静かなる、という意志
刃を持たずとも
世界を動かす眼差し
咲くことを誇らず
散ることを恐れず
ただ在ることを選ぶ
やまとなでしこ
あなたの足もとにあるのは
花びらではない
幾千の夜を越えた
確かな大地
その上に立ち
その上で笑い
その上で
静かに歴史を変えてきた
名を呼ばれなくても
記されなくても
あなたは
確かに
この国の、背骨
やまとなでしこ
それは
可憐という仮面をかぶった
不屈の魂
女は昔太陽だった
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お金持ちの生き方考え方
Modern·
お金持ちの生き方考え方
静かな夜に
言葉は灯りを落とし
呼吸だけが残る
誰かに届かなくても
ここに在ることは
確かで
今日を越えたあなたの背中に
小さな風が
そっと触れている
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『内閣総理大臣直属国家安全保障局特務情報部外事課第3係GARDE《ガルデ》の女』
Modern·
ロサンゼルスに存在する民間軍事会社「GARDE《ガルデ》」は、表向きは「要人警護」のガードマンの派遣会社であるが、裏ではCIAの下請けとして「国際問題解決」に動く「政府ご用達の傭兵集団」である。
日本で誕生した初の女性総理大臣「高石香苗」の「日本人ファースト」の政策は、それまでの「親中派」、「親半島派」の左派野党だけでなく、自民党内での左派議員にも強い影響を与えた。
国会内での「台湾有事」に対する発言から、「高石政権」に危険を感じた「中国政府」は多種多様な揺さぶりをかけるが、動じることのない「女首相」に業を煮やした中国政府は「刺客」を送り込む。
「軍事用品国際展示会」の視察に訪れた「高石首相」に中国の工作により「刺客」となったイスラエル特殊部隊「メツトァダ」特務員が首相襲撃の準備に入る。
事前に三沢基地の「ファイブアイズ」の通信傍受システムのエシュロン情報より暗殺計画をつかんでいた国際展示会に潜り込んでいた「GARDE」のエージェントの「羽藤蘭」と「ギャリソン戸田」の活躍により暗殺作戦を防ぐために民間会社の技術者を装い、首相のSP達に同行する。
イスラエル企業ブースで急襲され、SP隊は載田歩智を残し全滅する。ギャリソンが応戦し、蘭は載田を連れ、高石を逃がすが短機関銃を持つ工作員に追いつめられる。
あっさりとやられてしまった載田の次に銃口を向けられた「蘭」の前に「日本国民を守るのは私の使命や!だれ一人テロリストの手にはかけさせへん!」叫び高石は蘭を庇う。
高石の背後から蘭は飛び出し工作員を射殺する。
蘭は国民を思いやる高石の心意気に感動し、首相直属の特殊部隊で「GARDE」を使う事を提案し、「内閣総理大臣直属国家安全保障局特務情報部外事課」の特殊機関として受け入れられる。
死んだと思っていた載田は臆病な性格故に身に着けていた「軍用フル装備ボディーアーマー」で助かっていた。
「GARDE」入りを望む載田は「ポチ」と名付けられ、蘭の仲間となる。
その後、西側諸国から「国際問題解決」への「国際協力」を要請される「高石政権」の「裏情報機関」として「GARDE」は動き出す。
日本国内問題だけでなく、国際的な事件にも高石の命により蘭のチームは世界中を飛び回り「チャイルドマーケット・人身売買」、「一帯一路による国際侵略」、「薬物汚染問題」、「武器商人」、「国際サイバーテロ」等の問題を「ガード(G)」、「アタック(A)」、「リサーチ(R)」、「デストロイ(D)」、「エスケイプ(E)」の特技を持つ特徴あるメンバーの技能を活かし、事件を解決していく「爽快ハードボイルドストーリー」(にする予定です(笑)!)。
(⋈◍>◡<◍)。✧💖
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『婚約破棄され隣国に追放された男爵令嬢は、前世“介護士”の記憶で王子に溺愛され人々を幸せにする』
Modern·
『婚約破棄され隣国に追放された男爵令嬢は、前世“介護士”の記憶で王子に溺愛され人々を幸せにする』
その日、
わたしは王宮の真ん中で
名前を失った。
「婚約は破棄する」
その一言で、
未来は紙のように破られ、
わたしは風の中へ放り出される。
男爵令嬢。
それだけが肩書きだった。
愛されるはずの立場から、
疑われ、切り捨てられ、
隣国へ――
追放。
けれど。
雪の積もる馬車の中で、
もうひとつの記憶が
静かに目を覚ます。
白い廊下。
消毒液の匂い。
震える手を握った、あの夜。
「大丈夫ですよ」
前世のわたしは
介護士だった。
誰かの終わりに寄り添い、
誰かの痛みに耳を澄ませ、
誰かの尊厳を守ろうと
何度も夜を越えた。
追放令嬢のわたしには
魔法も剣もないけれど、
“支える”ことなら、
誰よりも知っている。
隣国の城は、冷たかった。
けれど人の心は、
どこでも同じ温度で揺れている。
疲れた侍女。
傷を抱えた兵士。
眠れない王子。
その孤独を見つけてしまう目を、
わたしは持っている。
「君は、なぜそこまで人に優しい」
そう問われて、
わたしはただ首を振る。
優しさじゃない。
当たり前にしたいだけ。
泣きたいときに泣ける国。
老いても捨てられない城。
弱いままで、生きていける世界。
王子の手が、
はじめてわたしの指に触れたとき、
それは命令ではなく、
懇願でもなく、
ただの――
ぬくもりだった。
溺愛とは、
囲うことではなく、
「君が倒れたら困る」
と本気で言うこと。
ざまぁとは、
誰かを踏みつけることではなく、
誤りが、
静かに正される瞬間。
追い出された娘は、
もう泣かない。
泣く時間があるなら、
誰かの手を握る。
握られた手が、
やがてわたしを支える。
婚約を失っても、
国を追われても、
“支える力”は
奪われない。
そして気づく。
幸せは、
与えられるものじゃない。
小さな体温を
一つずつ
手渡していくこと。
追放の果てに咲いた花は、
王冠よりもあたたかい。
わたしはもう、
捨てられた令嬢ではない。
誰かの明日を
そっと整える人。
そして――
わたしを溺愛する王子は、
知っている。
支える者こそが、
この世界を
いちばん強く
変えていくことを。
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『相続人は、追い出された娘でした』
Modern·
『相続人は、追い出された娘でした』
あの日、
私は家から追い出された。
ボストンバッグひとつと、
嘘で縫い付けられた「遺志」という言葉。
娘であることを剥がされ、
居場所を剥がされ、
名前だけが残った。
私は学んだ。
期待しないこと。
泣かないこと。
振り返らないこと。
灰の中で、息を殺して生きる術を。
けれど。
遺されたのは、
冷たい沈黙だけではなかった。
父は、不器用に、
遠い未来の私へ剣を置いた。
「取り戻せ」と。
奪い返すのではない。
壊すのでもない。
ただ、
本来そこにあったはずの光を、
自分の手に戻すだけ。
私はもう、
キッチンの隅で震える子どもではない。
私の名が刻まれた家に、
私の足で立つ。
ざまぁみろ、とは言わない。
ただ宣言する。
相続人は、
追い出された娘でした。
そして今日、
私は私を相続する。
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『はんこは押さない 〜「誰が養ってやってる?」と言った夫へ、判決です〜』
Modern·
『はんこは押さない
~「誰が養ってやってる?」と言った夫へ、判決です~』
あの夜
あなたは言った
「誰が養ってやってると思ってる?」
熱にうなされる娘の額よりも
あなたのプライドのほうが
大事だった夜
私は
床に落ちた離婚届を拾いながら
初めて知った
紙よりも軽いのは
あなたの言葉だということを
寄生虫、と
笑ったわね
でも
寄生虫は
宿主がいなければ
生きられない
さて
それはどちらだったのかしら
あなたは
「俺の金」と言った
ええ
確かに、あなたが稼いだ
けれど
法律は知っている
婚姻とは
支配ではなく
責任だと
算定表の数字は冷たい
けれど正確
二十四万円
それは復讐ではない
生活
あなたが拒んだ
父親としての生活
あなたは自由を望んだ
自由は
無料ではない
はんこは押さない
それは執着ではなく
宣告
「養ってやってる」と言った
その瞬間から
あなたは
支払う側になったの
私は泣かない
私は怒鳴らない
私は
待つだけ
判決が
ゆっくりと
あなたの給料日に
降りてくるのを
はんこは押さない
それは愛の拒絶ではない
無価値だと切り捨てられた
私の存在証明
そして最後に
私が押すとき
それは
あなたを解放するためではない
私が
もう
あなたを必要としなくなった
その証明
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